理論上は、「内部留保」も「配当」も株主の物であることに変りはないが・・・

内部留保も配当も、株主の物であることは疑いの余地がない。しかし、実際は配当で受け取ることの方が恩恵を受ける場面がとても多い。唯一の例外が、成長株である。他の場合は会社の利益は(内部留保よりも)配当で受け取るほうが良い。

最初のほうで真面目な株式本にはだいたい以下のように書いてある。

会社は、利益を再投資して利益の拡大が狙えるなら内部留保する。利益を再投資しても利益が上がりそうになければ、配当という形で株主に返す。

理論上の話としてはごもっとも話だが、人間社会はそこまで理論的・秩序的に回らない。現実的によくあるのが、社長は今後会社に経営難が起こらないように、お金を貯めることを好むパターンだ。ある社長は単に貯金好きということもありえる。

また投資して利益が拡大するかどうかはわからない。分かってたら投資って言わない。。。あなたが社長だと仮定してみます。もし100万円の利益が出たときに、普通は事業拡大に費やすでしょう。そのほうが社長として面白い(やりがいがある)でしょう。

単に配当金を増額するなど「つまらん」と思うこと間違いなしです。なので、実際は会社に貯金、事業拡大に使うケースが大半です。(つまり配当を出すパターンはどちらかというと少ない)

事業拡大に使うのは良い事なのですが、往々にして失敗が多いです。そうなると、会社が利益を生んでも事業拡大に失敗して、今までの貯金をすり減らしてしまうことだってあり得ます。

そういった事を考えると、教科書通りに内部留保(簡単にいうと、会社の利益をため込むこと)でも株主の物に変わりはないというのは、将来どうなるかわからない(失敗してパーになるかもしれません)という点で、非常に危険というか信用できないことでもあります。

これは極端な例ですが、こんなのにはなりたくないでしょう。

シャープ 落ちたな

(上記はSBI証券 会社四季報より、一部改変)

いくら内部留保を貯めていても、赤字になって垂れ流す局面の可能性もあり、内部留保は、かなり割り引いて(評価としては低くして)見なければいけません。

実際に株主の物といっても、実際は私たちのように、吹けば吹き飛ぶような弱小個人株主が、好き勝手に内部留保をどうするか決めれるわけはないのですから。

今度は実際に利益を積み上げても、年度ごとの1株利益にはどうすることもできず、なすがままの例も見てみましょう。

5461中部鋼鈑 業績

(中部鋼鈑(5461)の有価証券報告書(公開情報)より)

このように、2008~2009は莫大な1株益を上げて、内部留保が充実し、会社の資産がとても増えたにも関わらず、

株価は大きく下落していき株価としての評価は全くと言っていいほどされませんでした。

5461中部鋼鈑チャート

(上記、1枚目はH24.3の有価証券報告書より、2枚目はSBI証券のチャート10年より)

2008年~2012年にかけて、会社は業績が赤字スレスレまで落ちましたが、トータルでは少し黒字で、内部留保は微増でした。

それにもかかわらず、今の株式市場は内部留保というものは評価されないことが多い。そうでないと2008~2012年の株価下落は説明がつかないだろう。

実際は、内部留保よりも年度ごとの業績(1株利益)が物をいう事が非常に多いです。それも私が内部留保ばかり貯める企業を嫌がる理由の一つでもあります。

まとめると、どれだけ今までの資産を会社内にため込んでいても、その年の業績が悪ければ容赦なく株価は下落していくのです。

逆にいえば、配当を出して内部留保が無くても、その年の業績が良ければ株価は上昇して投資家にとっても利益をもたらしてくれるのです。

(更新履歴)11/8 文章加筆訂正

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